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ハラスメント対策の導入事例・実績一覧テルモ株式会社 様
導入事例テルモ株式会社 様
自分自身と向き合う演習で女性社員が一回りも、二回りも成長
女性活躍推進のためのハラスメント防止研修を社内講師で実施
- ハラスメント
- セクハラ
- ダイバーシティ・女性活躍・キャリア
- 提供サービス研修
- 規模1万人以上
ダイバーシティ推進室
室長 川村恵美子 様
相馬美奈子 様
成澤香織 様
株式会社クオレ・シー・キューブ DIW[デュー]推進室長 稲尾 和泉
医療・健康分野で社会に貢献されているテルモ株式会社様では、昨年末から今年にかけて、私たちクオレ・シー・キューブがご提供したプログラムを元に、社内講師による「女性活躍推進のためのハラスメント防止研修」を実施されてきました。その取り組み状況や反響などを、DIW[デュー]推進室長・稲尾和泉がダイバーシティ推進室の皆さんにお伺いします。
稲尾和泉(=以下、稲尾) 今回、私どもにご依頼いただいたきっかけなどからお伺いできますか。
相馬美奈子氏(=以下、相馬氏) そもそものきっかけは、コンプライアンス系の問題はそう簡単には無くならないものだということを社長が重く受け止めたことに始まります。特にセクハラ(セクシャルハラスメント)に関しては女性側が被害者になることが多いことから、私たち「ダイバーシティ推進室」にも声がかかりました。 そこで、これまで人事部主導で管理職を対象に年1回行ってきたコンプライアンス研修とは違う観点から企画したいと考えているところに、クオレ・シー・キューブさんのご案内を目にして、今日に至ります。
成澤香織氏(=以下、成澤氏) 私は営業人事時代にクオレさんの研修DVDを営業拠点で使わせていただいていたので、ぜひ、という気持ちでした。
相馬氏 ただ女性を対象に実施するとしても、全社では約650人にもなります。費用の問題もあって対象者について悩んでいたのですが、クオレさんから、被害者になるのは若い女性だけではないことや「内製講師」という方法もあることを伺って、女性全員を対象とすることにしました。
稲尾 成澤さんと相馬さんのお二人が講師になられたんですよね。
相馬氏 自分が多くの人の前で話せるのかな、という不安もありましたが、他社で実施されているなら自分もできるかもしれない、それをすることで自分たちの財産になるのではないか、と考えて覚悟を決めました。
成澤氏 自分たちの言葉で伝えることの重要性もありますよね。会社の事情をよく理解している私たちが話すからこそ伝えられる部分があることや、これまでの管理職を通して聞いたハラスメント情報では伝わりきらない部分について、私たちが女性たちに直接思いを伝えられることも、研修を内製化した良いところでした。「してはいけないことを伝える」といった視点だった研修を、ワークを通じて「自分たちの職場でハラスメントをどのように防げるか」という視点に変えることができたのもよかったと思います。
稲尾 全部で何回実施されたのですか。
成澤氏 8カ所、12回です(2015年4月16日時点)。日程が合わずに参加できなかった方のために、後日、追加で実施しますからほぼ100%になります。
稲尾 私が素晴らしいと思ったのは、会社からの社員の方へのメッセージが明確だったことです。《今までは管理職に「してはいけないこと」を伝えていた。ハラスメントを受けたときにはそのままにせず「嫌だ」と打ち返そう。しかし、それもゴールでなく、今度は受け身ではなく自分から発信するという次のステップもある。だからそれもできるようにするための最初のステップとしてこの研修をやります》――と。
川村恵美子室長(=以下、川村室長) それによって、「なぜこの研修をやらなければならないのか?」「なぜ女性だけ集めたのか?」「なぜダイバーシティ推進室が出てきてやっているのか?」といったことが理解してもらえたと思います。「セクハラ研修」というと面白おかしく捉えられることも多く、それではせっかくの良い内容がもったいないですから。
稲尾 社内で告知された後の皆さんの反応はどうでしたか。
相馬氏 初めての事だったので「何をやるんだろう?」という不安と――。
成澤氏 「若い人が対象だと感じます。仕事も忙しいので出なくていいですか……」という連絡はすぐ来ましたね。
相馬氏 そういった方には、この研修では困っている人に先輩としてアドバイスできる内容を学べることや、女性だけではなくて男性も被害者になり得ることをお伝えしました。
稲尾 研修を上司の方が後ろで見るスタイルにしたことも、特徴的でしたね。
相馬氏 女性に出すメッセージを男性側にも聞いてもらうことで共通認識を持つことが出来ると考えました。
稲尾 まずは私のレクチャーを何度も受けていただきましたが、私が話したことを一字一句そのまま原稿に起こしてノートに貼って、ポイントを整理されていましたね。それをご自分の声で録音されて毎日のように聴いていらっしゃったとか。
成澤氏 私たちが講師をするからといって研修の質は落とせませんし、次につながるものにしたかったので、本当に何度も(事前研修)をやりましたよね。このノートは宝物です。
稲尾 私も本番にオブザーバーとして立ち会いましたが、ご自分で新たな情報を加えて、自分の言葉として伝えていた。これに賭けるお二人の思いがすごく伝わってきました。アンケートの結果(満足度)も90数%の方が「大変満足だった」でしたね。
成澤氏 「今までになかった研修だった」という声が多かったですね。知識もそうですし、やはり演習を通じて周りの女性社員の意見を聞いて、「自分は間違っていないな、断ってもいいんだな」といったことを実感できたのがよかったと思います。
相馬氏 上司の方からも、「女性はこんなに生き生きしているんだ……」という驚きの声がありましたからね。
成澤氏 上司も一緒に研修に参加したことで、その後、コミュニケーションスタイルが少し変わってきたように感じます。お互いの理解が深まったし、見方も変わった。職場での女性の意思表示の仕方も変わりつつあると思います。
相馬氏 研修後に、「ジェンダーハラスメントについて思い切って上司に言ったら、『無意識でやっていたようだ。すまなかった』と言ってもらえた。気づいてもらえて嬉しかった」と報告してくれた人もいて、私も感動しました。
稲尾 研修に立ち会った男性の感想として、他に印象的なことはありましたか。
川村氏 最たるものとしては、「セクハラを受けたことがない人はいますか?」と質問に、ほとんどの女性が手を挙げなかったこと。つまり、全員がなんらかのセクハラを経験しているという状況を見て、男性の方はびっくりしていました。
成澤氏 でも研修の中ではパワハラ(パワーハラスメント)につながる話もしているので、「働きやすさの話に男女は関係ないよね」という感想を持たれたようです。
稲尾 そういったお互いの理解が、ダイバーシティや活躍推進、能力開発などにつなげていくきっかけになるとよいですよね。研修後のフォローは何かされていますか。
相馬氏 研修で大きな気づきを得ても、ふだんの業務に戻ると薄れていくところがあるので、後日、《そのときの気持ち》を思い出してもらえるような文章を添えて、アンケートのフィードバックを送っています。
成澤氏 管理職も含めて、あの場を共有した人と部門長に対して送りました。あとは結果報告の形で全部オープンにしていますので、社内でもかなり認知はされていると思います。
相馬氏 ですから、今回は女性対象でしたが、定期的にこの要素を盛り込んだ研修は続けていきたいですね、「コミュニケーション」にしても「パワハラ」にしても。そこはまた工夫のしどころだと思っています。
稲尾 今度の課題や展開もお聞かせいただければと思います。
相馬氏 本当に要望として一番多かったのが「男性にもこの内容を聞いて欲しい」という声でした。コミュニケーションは双方向のものですから、女性だけではなく、いつかは全社員にこうした研修を受けてもらうように取り組んでいきたいと思っています。
川村室長 今回は「働きやすさを阻害するものの1つがハラスメントである」という大局的な視点から入ることで、セクハラという表現の毒々しさを打ち消すことができました。「ハラスメントの種類は思っている以上にたくさんある。あなたも知らず知らずのうちにやっているかもしれない」という入り方が、参加者の腹にストンと落ちたのだと思います。今回はこういう内容だったけれど、働きやすさを阻害するものは他にもたくさんあるという普遍的なものが伝わったと思います。そういう意味では、今後の展開の幅広さもありますし、ダイバーシティが何を目指しているのかというコアの部分も、遠回しに理解してもらえたのではないでしょうか。
私は、研修の最後に「自己肯定感」の話をして、「自分の中に答えはある」「キャリアも考えましょう」「だから自分のことを大切にしましょう」と「自分」にフォーカスしていったのがよかったと思っています。
成澤氏 ふだん声を出せない人は、「自分も相手も大切にする」というアサーティブという考え方が心に響いていたようです。アンケートなどを見ても、その一番大切な部分が伝わっていたと思います。
相馬氏 会社の研修にはスキル的なものはたくさんありますが、今回の研修のように、自分自身に向き合うというか、自分自身を知る研修というのはなかなかないですよね。私はこの研修で自分に向き合えたことでそれぞれが一回り、二回り大きくなっていると思います。例えば、今、社内の有志が集まって「キャリア勉強会」を開いているのですが、声を掛けたうちの8割ぐらいは参加してくれています。前向きな人が多くなっている印象です。何かしら変化が起きてきているような気がしますね。
稲尾 嬉しいお話をありがとうございます。
(文責:クオレ・シー・キューブ)
(2015年)