アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題セクハラとパワハラの共通点は

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

セクハラとパワハラの共通点は ~職権・圧力など背景に行使~

「セクハラは女性が受けるもの」「パワハラは上司がするもの」と理解されている方が多いようです。セクハラ相談の95%以上は女性、パワハラ加害者の80%近くが上司ということからすれば、ほぼ実態を示しているとも言えるでしょう。

しかし、これだけではセクハラ、パワハラの本質を理解するのは難しいでしょう。

いわばセクハラは「相手方の意に反する性的言動を行うこと」であり、パワハラは「職権等を利用し、人権を侵害する言動を繰り返すこと」です。その判断基準はセクハラだと訴えた人の不快感という主観的な感覚になっています。

パワハラの場合は訴えた側が不快と感じても即パワハラとはなりません。ミスをすればしかられるのは当然ですし、会社の方針や指示に背き続ければ解雇もやむなしということになります。例え、不快だと感じたとしても、度を過ぎた扱いでない限りパワハラにはなりません。それが仕事上必要で適切な言動であったかどうかがパワハラの判断において大事な基準となります。

セクハラもパワハラも強要や嫌がらせを拒否すると不利益を受ける可能性があるので我慢せざると得ないような弱い立場のものが受けやすいという共通点があります。

体に触れられても「やめて」と言えない、無能呼ばわりされても抗議できないのは、抗議をすれば仕事を続けられなくなったり、さらに言動がエスカレートしたりする懸念があるからです。一部の病的なセクハラを除いては、職場で力のある人がその影響力を背景にして行っているという点で共通しています。

加害者は必ずしも上司ばかりではなく、様々な力を背景に色々な立場の人が行っています。特にパワハラの背景になる力は職権だけでなく風土や慣習といった集団の無言の圧力、情報やスキルを背景にした力、正当性を背景にした力など、何らかの力を背景に行使しているものも見受けられます。最近よく見られるハラスメントでは正社員が派遣社員に、派遣社員同士、正社員が取引先におこなうなど、加害者の層は拡大しています。

ハラスメントが怖いのは明確な意図を持っている場合ばかりではないということです。相手への影響力を知らずに、相手の気持ちを受け止める余裕がないままに要求したり、否定したりすることでハラスメントなることがあります。セクハラもパワハラも自分の影響力を知り、相手の立場に立ってみることが大切だということができるでしょう。

(株)クオレ・シー・キューブ 岡田 康子(2008)

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