アーカイブハラスメント問題

ハラスメント問題第1回 職場のハラスメントとメンタルヘルス

こちらのアーカイブは、職場のハラスメントに関する解説を事例などを交えて記載しています。パワハラ・セクハラ防止研修の教材や職場におけるハラスメント防止の啓発ツールとして、出典を明記の上、ご活用ください。
(出典記載例:株式会社クオレ・シー・キューブホームページ)

今回から6回にわたって、昨年中央労働災害防止協会発行の 【安全衛生のひろば】に掲載された『知っていますか これもハラスメントです』 の記事をお届けします。

知っていますか これもハラスメントです

第1回 職場のハラスメントとメンタルヘルス

「上司から毎日のように厳しく叱られ、うつ病になってしまった。」あるいは「精神的な病気で休職し職場に復帰したが、上司からいやみを言われ、また病状が悪化してしまった。」など、パワハラとメンタルヘルスは大変密接な関係があります。私どもが行った調査によればパワハラを受けて3ヶ月以上たった人の20%以上は精神科に受診していました。社会生活を営み感情をもって生きている私たちにとって、人格を否定され、攻撃され、無視されることは耐え難いことであり、誰しもハラスメントをうけることで精神的ダメージを受けてしまう弱い存在だということができます。

とくにパワハラは職場活動と切り離すことができないために、正当な指示命令ないのか、適切な教育指導なのか、その判断は大変難しいものがあります。たいていの場合パワハラはちょっとしたミスの指摘から始まり、態度や性格にまで言及し、能力や人格を否定し、無視や排斥へとだんだんとエスカレートとしていく特徴があります。そのためどこからが許しがたい言動なのか区別がつかず「私がミスしたのだから仕方ない」と受け止めてしまいがちです。このように自分が我慢してしまうことで相手にはその苦痛が伝わらず、その結果行為はどんどんエスカレートし、取り返しのつかない深刻な事態へと発展していくのがパワハラの特徴です。 しかし一方で、部下からセクハラだ、パワハラだと言われるのを恐れて、「叱ることができない」「コミュニケーションがとれない」という弊害も生まれてきています。

しかし、むしろきちんとしたコミュニケーションが取れていないがゆえにハラスメントになってしまうのであって、「ハラスメントをしないために関わりを持たない」ということでは活気のある職場を作ることはできません。そのためにはハラスメントについての正しい理解を深める必要があります。今回から1年間にわたり、パワハラを中心に事例を交えながら、ハラスメントのない職場づくりを考えていきたいと思います。

*当原稿は、中央労働災害防止協会発行【安全衛生のひろば】2009年1月号に掲載されたものです。

岡田 康子

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