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ハラスメント対策最前線風通しの良い職場づくり -CSR活動の一環として-(2)
「風を通す」ためのステップ
「風通しが良い」とは、組織内で必要な情報や意思が通じていることです。 従業員が安心して能力を発揮でき、業務効率の向上や企業不祥事、ハラスメントの予防にもつながります。
「風通しの良い職場をつくりたい」という願いは多くの企業が持っているのではないでしょうか? しかし、「どうすれば実現できるのか分からない」、「取り組んではいるものの、なかなか成果が出ない」という推進者もいらっしゃると思います。
そこで、今回は効果をあげやすい実施ステップをご紹介します。
①問題を洗い出す
推進者としてはまず、組織のどこに風通しを塞いでいる「壁」や「フタ」があるのかを探さなければなりません。女性/男性、勤続年数の長短、正規/非正規といった属性の違い、縦割りの部署、派閥、上司/部下関係など、どのようなところで流れが滞っているのかは組織ごとに違います。アンケート調査や面談などを活用し、自部署、自社の問題を洗い出し、優先順位を決めて取りかかると良いでしょう。
②巻き込む
経営層や社員一人ひとりを「巻き込んでいく」ことも推進者の大事な役割です。経営層にリーダーシップを発揮してもらうことは最初のステップとして大変重要ですし、取り組みを持続させていくためには全社員の参画が欠かせません。
<経営層(トップ・マネジメント)を巻き込む>
経営トップが「風通しの良い職場の実現」を宣言することは、組織風土改革の第一歩です。特にそれが企業理念の共有やCSR活動と連動すれば、さらに効果を発揮するでしょう。ただし、経営者や管理職自身が風通しを遮断・停滞させるようなことがあれば、社員は本気で取り組みません。経営層が社内外との率直なコミュニケーションを行い、「自分たちに都合のいい情報だけを聞き入れようとしていないか」自問・改善してもらうことも必要です。
<社員を巻き込む>
社員一人ひとりを巻き込む際のヒントは、当事者意識を持ってもらえるような仕掛けづくりです。例えば、取り組みに共感してくれる社員を部門横断的に編成してプロジェクトを作り、全社に展開していくというようなことが挙げられます。最初は小さな取り組みでも、そこでの活動を発信し続けていくことで全社員への認知度を高め、輪を大きくしていくことができるようになります。
③自律型社員を育成する
全社員が立場や属性に気兼ねなく自分の意見や気持ちを伝えることができるために必要なことは、一人ひとりが自分の働きがいや価値観などの「内的キャリア」や、自分の強み・弱みといった「自己理解」ができていること。また、アサーション・傾聴などのスキルを身につけ、自分も相手も大切にしながら適切なコミュニケーションができることです。様々な問題を自分事として考え、周囲にも働きかけていける自律型社員を増やすために、推進者は、キャリア開発やコミュニケーション研修の企画・立案も視野に入れる必要があるでしょう。
④対話を創出する
風通しの良い職場をつくり、維持していくためには、 相手を尊重しつつ「言いたいこと」を「言い合える」オープンなコミュニケーションが基盤となります。
「自分の意見を言う」だけでは価値観の違う相手との意思疎通が図れず、真の意味で組織の活性化には結びつきません。異なる意見、価値観、文化の相手と適切なコミュニケーションを図り、譲歩しながらも合意を形成していくことができてはじめて風通しの良い職場が活きてくるのです。推進者は常にこのことを念頭に置き、対話の機会を創っていくことが大切です。
おわりに
ここまで、風通しの良い職場をつくるためのステップをご紹介しました。「こんなにやることがあるのか・・・」というため息が出てくる方もいらっしゃるかもしれません。でも、千里の道も一歩から。少しずつでも継続していくことが風通し改善につながります。
推進者同士が、情報共有や意見交換によって支え合うことも取り組みを続けていくために有効でしょう。
(2013年5月)
村松 邦子
経営倫理士
株式会社ウェルネス・システム研究所 代表取締役
筑波大学大学院修士課程修了(人間総合科学)
グローバル企業の広報部長、企業倫理室長、ダイバーシティ推進責任者を経て独立。
「健幸な社員が健全な組織をつくる」をテーマに、人財組織開発と連動したダイバーシティ、企業倫理、CSR推進の支援・普及に取り組んでいる。
「人にやさしい会社~安全・安心、絆の経営~」(白桃書房、2013) 「三方よしに学ぶ 人に好かれる会社」(サンライズ出版、2015) |
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