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ハラスメント対策最前線風通しの良い職場づくり -CSR活動の一環として-(7)
女性活躍推進の現状
政府が「女性活躍推進」を成長戦略の中核と位置づけ、「202030(2020年までに指導的な地位に占める女性の割合を30%にするという政府目標)」を呼びかけていることにより、両立支援策の向上や女性管理職の増加に力を入れる企業が増えてきました。CSR報告書においても、中核課題である「人権」や「労働慣行」のアクションとして、女性活躍推進の取り組みや成果が多く掲載されるようになっています。
一方、働く女性が妊娠・出産をきっかけに職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、妊娠・出産を理由とした不当な扱いをうけることを意味する「マタハラ(マタニティ・ハラスメント)」がメディアに取り上げられることも多く、2014年新語・流行語大賞の候補50語にも選出されました。
産休、育休、時短という両立支援の制度が整備され、女性社員の定着は進みましたが、「子育てをしながら管理職になる女性は少ない」、「モチベーションが落ちている」など、長期の制度利用によるキャリア形成への影響も指摘されています。
土壌づくりを大切に
これらの課題は、単に制度を整えるだけで解決できるものではありません。社内の意識改革をはじめとして、組織文化の見直しや人事システムの再構築など、まさに「風通しのよい組織づくり」にとりくまなければ実効性をあげるのは難しいでしょう。
意識調査などによって、女性の活躍を阻害している要因を把握し、表に現れにくい女性社員の要望をくみ上げる一方で、社内の意識改革を重層的に推進するなど、土壌の改良に十分な時間をかけることが必要です。
その上で、経営トップのコミットメントの下に、経営戦略に対応した「女性活躍推進」を行うことが大事なのです。具体的な施策としては
① マネジメントによる長期的なビジョンづくりと強力なリーダーシップ
② 全社員を対象にした働き方の見直し
③ そのポジションで何が求められているのか?という役割の明確化とそのための支援
④ 役割で求めていることが評価に反映する仕組みづくり
⑤ アサーション、コンフリクト・マネジメント等のコミュニケーションスキル向上
などが挙げられます。
女性活躍とCSR
女性活躍推進は、単に女性のためだけの施策ではありません。グローバル時代に企業の競争力を左右する経営戦略であり、世代、外国人、障がい者など、多様性を活かすダイバーシティ・マネジメントを実現するための第一歩です。
また、投資の世界では、CSRから発展したESG(Environment.・Social・Governance)を投資判断基準に組み込むことが一般的になっています。ここには当然ダイバーシティの観点もふくまれており、女性活躍はその重要な要素の一つです。
なぜ「女性活躍推進」に取り組むのか?
自社の戦略にどのように活かすのか?
数合わせとしての「女性管理職増加」ではなく、目的を意識して活動を進めることにより、社内での理解が進み、社員にとっても企業にとっても意義のある取り組みになるのではないでしょうか。
(2015年3月)
村松 邦子
経営倫理士
株式会社ウェルネス・システム研究所 代表取締役
筑波大学大学院修士課程修了(人間総合科学)
グローバル企業の広報部長、企業倫理室長、ダイバーシティ推進責任者を経て独立。
「健幸な社員が健全な組織をつくる」をテーマに、人財組織開発と連動したダイバーシティ、企業倫理、CSR推進の支援・普及に取り組んでいる。
「人にやさしい会社~安全・安心、絆の経営~」(白桃書房、2013) 「三方よしに学ぶ 人に好かれる会社」(サンライズ出版、2015) |
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