ハラスメント相談窓口の担当者として、相談を受けるときの注意点は? 相談にメンタルの問題も含まれている場合の対処は?
- Q今年度より、ハラスメント相談窓口の担当者になりました。ハラスメント相談を受けるときの注意点はありますか?相談にメンタルヘルスの問題も含まれている場合はどのように対処したらいいですか?
- Aハラスメント相談窓口で対応を進めていくうちに、相談者がメンタルヘルスの不調を訴える場合などが見受けられるようになり、相談担当者としてはどのような対応をすればいいのか迷う場面も多いのではないかと思います。
ここでは、社内でのハラスメント相談への対応とともに、メンタルヘルス問題との対応の違いについてご説明したいと思います。
私ども(株)クオレ・シー・キューブでは、ハラスメント相談窓口のほかに、メンタルヘルス中心の相談窓口も開設しております。おおまかに言うと、ハラスメント相談は心理的な葛藤も聞きながらも最終的には組織としてより働きやすい職場環境を作っていくことを目的とし、メンタルヘルス相談は主に従業員の方の心の健康をサポートする目的として電話相談を行っています。
ハラスメント相談には、ケースによっては組織的な問題解決ということが必要になる為、問題に対応するためにきちんと状況を聞くということが求められています。そのため、どのようなハラスメントの事実があったのか(5W1H)、その結果どのような影響があり、問題解決のためにどのような対応を望むのか(被害者の意思確認)・・・など、行為者のヒアリングや今後の組織内対応のための情報収集をすることが必要となってきます。
一方、メンタルヘルス相談については、健康管理という視点から不調の兆候を早期にキャッチし対応することが主要な役割ですが、不調の原因が個人的なことにあるなど、組織的な対応がなじまない例も多くあります。ハラスメント相談に比べると、じっくりと話を聴きその人の不安やつらい気持ちに寄り添っていくことが大切だと考えています。
このように相談の目的に応じた聴くポイント違いはありますが、相談者の話をじっくりと聴くことで相談者と相談員との信頼関係を作り、安心して率直な気持ちを話してもらうこと、相談者がその会話の中で自分の気持ちや考えに気づき、さらに自ら行動をおこせるようサポートすることという点においては、二つの相談に大きな違いはないと考えています。
最近私たちのハラスメント相談窓口でも、ハラスメントを受けたことが原因でメンタルヘルスの不調を訴える方が増えてきました。特にハラスメント被害を受け、精神的に不安定になっている方への対応の場合、メンタル面での影響を考えると被害の状況の確認をどこまですればいいのか、そもそもしてもいいものなのか迷われるケースがあるようです。
こういった場合最も重要なのは相談者本人の意思です。社内対応が必要だからといって、一度の相談で全ての必要な情報を聞きだす必要はありません。相談者が話してもいいと思えるところまでを話してもらうことが重要です。ハラスメント相談では特に「自分の相談がどう扱われるかわからない不安」からどこまで話していいか、何を要求していいか決めかねていることがあります。特に精神的に不安定な場合、一度話したことを後々撤回するということも珍しくありません。場合によっては「すぐに結論は出さなくてもいい」ということを伝えて、ゆっくりと「今後どうしたいか」について考えてもらう、体調が優れないようであれば産業医や外部の専門医などと連携をとり、ある程度回復してから改めて相談に来てもらうことも必要です。
ハラスメントは大きなストレスとしてメンタルヘルスに影響を及ぼすことが、先日の労災判定基準の改正でも認められています。ハラスメント窓口でも、メンタルヘルスへの対応については、内外の連携も含め準備しておくことで、対応の漏れや遅れを防げるのではないでしょうか。
(2009年年5月22日)
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