ハラスメント相談の現場からVol.12 社内行事は誰のもの?

Vol.12 社内行事は誰のもの?

年があらたまってようやく落ち着きを取り戻してきたこの頃…、師走から仕事始めの後しばらく続いた忘年会、新年会に疲労困憊した心身に回復の兆があらわれる頃でもあります。

この時期、私どもの相談室へはそうした宴席への参加は、仕事の延長(義務)?それとも業務外の自由参加?という相談が入ってきます。某企業で働くA子さんも「社内行事が多いのが悩み」です。年末年始の飲み会は言うに及ばず、歓送迎会はもちろん、花見、納涼会、研修打ち上げ等々、上司からは「コミュニケーションを図る大切な機会なんだから、全員参加!」と号令がかかり半強制的だそうです。一度、A子さんが「急ぎの仕事が終わりそうにないので今日は欠席します」と伝えたら、「定時に仕事が終わらないのは能力の問題!」「不参加の理由として認められない」と一蹴され、泣く泣く宴会に顔を出した後、会社に戻って仕事の続きをしたとのこと。「親睦の場どころかストレスの種。これから歓送迎会シーズンが来るので憂鬱です」とうんざりした口調で訴えました。
年度替わりの時期に増えてくる歓送迎会は、送られ、迎えられる人から感謝されることで初めて、会の目的が達成されるものでしょう。強制や義理で無理やり参加する会合がいかに無味乾燥であるか、出席者全員が感じているはずです。多忙な時期にA子さんの上司のように威圧的に無理強いすれば強制力をもち、参加者の不評を買って、職場の士気低下を招きかねません。当該行事が仕事の延長なのか、範囲外のレクリエーションなのか、位置づけを全員で共有し融通する必要があるのではないでしょうか。

最近は、メールやSNSに頼りがちな日頃のコミュニケーションを見直し、いったん減少傾向にあった社員旅行などの社内行事を復活させる企業が増えてきています。しかし、全員参加させれば円滑なコミュニケーションが図れるというものではありません。せっかくの交流の機会を十二分に有効活用する工夫が大切です。

(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2016.02)

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