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ハラスメント相談の現場からVol.43 “ハラスメント”事情あれこれ
Vol.43 “ハラスメント”事情あれこれ
ハラスメントの中でも、このところ「パワハラの訴え」が紙面やワイドショーでとりあげられることがとみに増えてきています。セクハラやパワハラの認知度がここまで広まった背景には、人権意識はもちろん、社会(組織)v.s. 個のありようへの関心が高まっている時流の影響は大きいでしょう。
某企業で社内相談窓口を担当するAさんの嘆き節を紹介しましょう。この春から同じ職場に異動になった男性社員Bさんと女性社員Cさん、どちらも30代半ばです。異動直後から、Cさんは人事の同期に「Bさんの言動が乱暴でデリカシーに欠ける」、「身だしなみがだらしない」と愚痴ることが度々ありました。二人の上司から見ると、Bさんは「真面目で仕事熱心」、「繊細さに欠ける」、一方のCさんについては「よく気がつき社交的」、「曲がったことが嫌いできっちりした性格」だそうで、「所謂、”水と油の関係“かな」と評しました。上司としては、何とか折り合いをつけてやって行って欲しいと願っていた矢先、CさんからAさんへ「Bさんの言動はハラスメントでは?」との訴えが入ったのです。よくよく話を聴いてみると、「Bさんの荒っぽい言動のおかげで仕事が手につかない」とのこと。「生理的に我慢できない」との言葉も飛び出し、「異動したい」との希望が出るに至って、Aさんは頭を抱えてしまいました。
これは極端な事例です、と残念ながら断言できないのが昨今のハラスメント事情です。自身が何らかの“我慢しなければならない状況”におかれた時、その”原因“を「ハラスメント」と名付けて排除しようとし、職場で起きていることだから会社に責任あり、と解決を丸投げしようとする訴えが増えてきています。どこまでなら”我慢“できるかという自分との折り合い(Cさんの場合:見て見ぬ振りができるか?)も、どこからは現実的な問題解決に乗り出すか(同:Bさんと話し合う)という相手との折り合いも、どちらも最初から放棄している姿勢には、「残念」の一言しかありません。ハラスメントと名付けたことイコール自らの手を放れた、ということでは決してないこと、ハラスメントを安易に”武器“(言い訳)にしないこと、を肝に銘じておきましょう。
(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2018.09)
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