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ハラスメント相談の現場からVol.13 内弁慶で損していませんか?
Vol.13 内弁慶で損していませんか?
“内弁慶と借りてきた猫”という表現があるほど、親しさ(心理的距離感の近さ)が増すにつれ、相手への気遣いや緊張感が薄れ、本音が遠慮なく表へ出てしまう経験は誰にもあるのではないでしょうか?卑近な例をあげると、家族など身内に対し、「やってもらって当たり前」、「言わなくても分かるはず」との理由で、「ありがとう」や「ごめんなさい」の言葉を省略することはめずらしくありません。職場においても、“身内”に該当する所属部門やグループ内のメンバーとそれ以外の“外部”の人たちとを区別し、必要以上に“身内”に厳しく接する人がいます。
先日、「部署内では有名な自己チューでキレたら手がつけられない問題上司」についての相談がありました。「指導のつもりかもしれないが、こっちの話も聞かずにいきなり怒鳴る」、「小言ばかりで褒められたことがない」、「言動が荒っぽい」などなどイエローカード満載です。一方で、「その同じ上司が他の部門のメンバーや客先からの評判はめっぽう良いのです」と不満な様子です。このタイプの上司は、細かいことに誰よりも先に目が行き届き、周囲に心配りができるサービス精神旺盛な人です。そして、部下たちにも自分と同じように「周りに目を配って気を利かせなさい」、「(外部に)粗相があってはいけない」との期待があり、それが強いあまり、厳しい指導につながるのです。
「きちんと指導しなくては」との責任感から発する態度の使い分け、表現の違いと考えられますが、実は“身内”への大いなる甘えも根底に潜んでいます。自覚のあるなしに関わらず、「部下には何を言っても大丈夫」「グループ内では自分には無礼講が許される」との意識があるのではないでしょうか。これは周りの人たちには決して通用しない残念な思い込みです。もっとも身近でサポートし合う関係にある人たちの気持ちが遠く離れてしまっては損するばかり。どんなに頑張っても一人で相撲は取れませんから。
(株)クオレ・シー・キューブ 志村 翠 (2016.03)
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